アーサナがうまくなりたい!と解剖学的に正しいか?のジレンマ。

ジレンマ

アシュタンガヨガをやっていると、「アーサナの形を目指す」に焦点が当たることが多いです。

解剖学的には危ない!と思うことが多いのですが、
生徒側からすると

そんな細かいことはいいから、とにかく体を動かしたい!
動かす前から動きを細かく指導されたらやる気がなくなる。

という意見があります。
実は私はそのサイドの人間。
最初から細かく指導されてしまうと、「動きたくて来ているのに・・・」と思ってしまいます。

今は練習を重ね、怪我も多くしてきて、
「解剖学的な知見を持っていないと危ない」と感じるようになりました。

生徒さんが初心者なのか、ある程度熱心にされているのか?
でも何を求めるのかが違うのかなーと思います。

1つのアーサナを例にとって、細かく見ていきましょう。
スタンディングのアルダバッダパドモッターナサナを見ていきたいと思います。

動きたい人の視点

後ろから回した手が親指を取れているか?
前屈できているか?
をとにかく目指します。

私も教えている時に、生徒さんに「親指を取れなくてもいいよ、前屈せずに立っていてもいいよ」と言っても、
頑張ろうとする姿をよく見かけます。

これはどのヨガクラスにも起こることかと思います。
先生がお手本を見せると、何とかしてそこにたどり着きたいという気持ちになることが多いと思います。
解剖学的にエラー動作だったとしてもです。

解剖学的な視点

先生のお手本を真似て、形を取ろうとした結果、
「これは長期的には危険では…?」ということもあります。
アルダバッダパドモッターナサナで起こりやすいのは2パターン。

  1. ハーフパドマを組みつつ、背骨を沿る
    この時、骨盤は前傾する。前傾結果、パドマが組みにくくなる。
    (パドマの際は後傾)
    前傾した上で、背骨を垂直にすると、腰椎の前弯が強くなる(つまり反り腰状態)
    →大腿四頭筋の硬さがあり、腰椎で代償
  2. 側屈して手を回す
    肩甲骨を使わず(下方回旋・内転させず)に側屈

このアーサナはここから前屈するのですが・・・
解剖学的には、「腰椎の前弯を強めたまま、側屈して前屈」かと思います。
※実際は腰椎屈曲制限(過度の股関節屈曲)を伴う
ぱっと漢字を見ただけでも、「大丈夫か・・・?」になりませんか?

このような姿勢でアーサナする方は多いと思います。
私も最初はそうでした。
幸い腰や膝に特に影響はなかったのですが、このアーサナで腰や膝を痛めた方もいらっしゃるかもしれません。

じゃあどうすればいいのか?

最初はレッドクラスでアーサナそのものに慣れる。
その後マイソールに入る段階で、解剖学視点を取り入れながら無理のないポーズを行う。
のが折衷案ではないでしょうか。

やはり最初どんな動きかわからないのに、解説ばかりだと面白くないですよね。
かといって最初の心意気のままずっと続けると怪我するリスクがある。
アシュタンガヨガが面白くなってきたら、
自分の体に目を向けてアーサナを取るようにしてみませんか?